公共システム研究室(鳥取大学)

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2020年度 卒業論文

緊急輸送道路を補完する道路ネットワークの設定方法に関する研究
大谷 純平
<要旨>
わが国では,災害発生直後から,避難・救助をはじめ,物資・人員等の輸送を円滑に行うことを目的として緊急輸送道路が指定されている.本研究では,緊急輸送道路を補完し,必要な場所どうしが結ばれるような道路ネットワークの設定方法を検討する.具体的には,支援物資を積んだ車両が複数の避難所を訪問する場面を想定し,こうした運用が効果的に行われるためにはどのように補完道路を定めるべきかを明らかにするための数理計画モデルを構築する.

ニュースサイトのコメントを用いた社会の雰囲気の可視化
奥川 廉太郎
<要旨>
感染症や自然災害といった非常事態が発生すると,不安や不満といったネガティブな雰囲気が社会に広がると考えられるが,その実態を調査することは難しい.一方でニュースサイトには人々が感情的なコメントを投稿し,さらにコメントに対し人々が賛同しているかどうかもわかる.そこで本研究では,感情分析によりネガティブなコメントを抽出し,コメントに対する人々の賛同率から社会の雰囲気を測る方法を開発する.新型コロナウイルス感染症に関する記事で実証する.

乾燥地途上国における道路ネットワークの整備に関するモデル分析
岸田 和樹
<要旨>
モンゴルのように広い国土を持つ乾燥地途上国では,舗装など整備された地域間道路はほとんどなく,大地の上を直接車両が移動する.このため,走行により刻まれる轍が周囲の植生に悪影響を及ぼすなどの環境負荷が指摘されている.本研究では,道路を高速走行が可能なように整備することによってそこに需要を集約し,交通の利便性向上と環境負荷の軽減を同時に達成するような整備区間を求めるための数理計画モデルを構築する.

構造的トピックモデルを用いたニュースサイトのコメントと賛否の分析
田中 哲哉
<要旨>
政策には人々の意見を反映させることが望ましいが,緊急事態には多くの人々から意見聴取をすることは難しい.Web上のニュースサイトには,読者が記事に対するコメントを投稿し,さらに別の読者がコメントを評価できる仕組みがある.つまり政策に対する多くの人々の意見を得ることが期待できる.そこで本研究では,構造的トピックモデルを用いてニュースサイトに対するコメントから話題を抽出し,話題に対する賛否がどのように変化したのかを明らかにする.

戦略的バイアスを考慮した公共交通サービスの顧客の把握に関する研究
松元 望美
<要旨>
路線バスの利用者数の減少に伴い,別の移動サービスに変更する政策が多くの自治体で行われている.その際,変更後における需要を把握するため,アンケート調査を実施するのが一般である.しかし,アンケート調査の回答は被験者の主観に基づいているため,戦略的バイアスが混入している可能性がある.そこで本研究では,新たなサービスを利用しうる顧客を戦略的バイアスの影響を受けずに把握する手法をサポートベクトルマシンに基づいて開発する.その上で,この手法の有効性を実証的に確認する.

中山間地域における買い物代行サービスの利用意向に関する分析
村瀬 康城
<要旨>
現在わが国では,高齢化や地元小売店舗の衰退などを理由に,中山間地域を中心に買い物弱者の増加が懸念されている.そのような人々をサポートする仕組みとして様々な買い物支援策が講じられているが,支援策によっては,買い物弱者に限らない顧客が利用する可能性も考えられる.そこで本研究では,買い物代行サービスを取り上げ,鳥取県南部町住民を対象に実施された調査データを用いて,利用意向のある顧客属性を分析する.

道路巡回パトロールの作業計画手法に関する研究
村田 雅明
<要旨>
地方では,公務員や建設業の従業者の減少などにより,インフラの維持管理人員が減少する傾向にある.日々の道路巡回パトロール作業を計画するに際しては,巡回のしやすさを保ちつつ,管理している多くの区間からその日の対象を戦略的に選択する必要があり,人員減少により効率的に選択することが求められる.そこで本研究では,限られた人員のもとで道路の巡回パトロールの作業計画を立案するための手法を混合整数計画法に基づいて開発し,その有効性を実証的に確認する.

予約の調整を考慮したタクシー事業の供給能力に関する分析
守屋 思温
<要旨>
中山間地域では,路線バスからタクシーへの転換を模索する自治体が増えている.しかし,タクシー運転手の減少や高齢化が進行している中,タクシー事業で顧客の需要を満たすことが可能かは自明でないため,転換に躊躇する事業者は少なくないと考えられる.そこで本研究では,所与の顧客並びに運転者数のもとで,予約の調整を想定した運転手の運用を導出するモデルを混合整数計画法により構築する.その上で,実際の乗降実態データを用いて,事業の供給能力を実証的に検討する.

小規模自治体における事業所の新設・廃業と人口移動に関する分析
山本 敦也
<要旨>
人口が小規模な自治体には,人口減少が進んでいる自治体が多い.そこで,地域に事業所を定着させ,雇用を維持して人口の流出を抑制するとともに,新たな事業所の設置を促すことによって人口の維持を目指すことが重要である.その際,各産業における事業所の新設や廃止が人口に及ぼす影響が分かれば有用である.そこで本研究では,一般化線形モデルを用いて,事業所の新設と廃止が人口移動にもたらす影響を分析することで,各々の産業の人口の維持への貢献性を明らかにする.

最終更新:2023-05-09 (火) 15:27:27