公共システム研究室(鳥取大学)

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2015年度 修士論文卒業論文はこちらです)

建設業の縮小に伴うインフラ維持管理への影響に関する分析 pdf_icon.gif
日高 大希
<要旨>
地方における建設業は,公共事業の減少,就業者の高齢化や若年層の担い手不足により,企業内の労働力が減少することと並行して,廃業を余儀なくされる企業が増え,業界が縮小していくことが懸念される.建設業は地域のインフラの整備・維持管理,除雪などの重要な役割を担っており,建設業の縮小は地方の地域社会にとって深刻な社会問題となっている.この課題への対応策を検討するに際しては,建設業の縮小に伴う地域への影響を定量的に把握するとともに,その影響を最小化するための企業の体制や業務の運用方法を検討するための理論的な支援手法があると有用である.そこで本研究では,道路の維持管理を対象に,地元の建設業が縮小した場合における影響を社会的費用として評価するとともに,企業がどのように業務を運用することで影響が最小となるのかを分析する手法を開発する.その上で,実際の地域を対象に事例分析を行い,開発した手法の有効性を実証的に確認する.

アクセス距離に着目した高齢者の店舗選択に関する実証的研究 pdf_icon.gif
安田 啓人
<要旨>
人口減少・少子高齢化が進む中山間の過疎地域では,商業施設や公共交通機関の撤退・縮小に伴い食料品や生活必需品の購入が困難になる高齢者の増加が懸念されており,そうした状況がさらなる小売業の撤退をまねく結果となっている.このような地域では,いわゆる「買い物弱者」への支援の必要性から移動販売などのサービスが実施され始めているが,事業者側から見たサービス導入の影響については十分には明らかにされていない.本研究では,高齢者の買い物行動に店舗までのアクセス距離が影響しうる点に着目し,移動販売を含めた小売スーパーの店舗選択モデルを構築することにより,店舗選択行動と店舗までの距離や距離抵抗といった要因との関係を把握する.そして,地域に移動販売サービスを導入することでどのくらいの顧客シェアが見込めるか,また,経営的に固定店舗を代替しうるかといった考察を通じて,サービス事業者の意思決定に寄与しうる知見を得ることを目的とする.

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2015年度 卒業論文

公共交通・インフラの一体的管理に関する研究 pdf_icon.gif
市榮 薫子
<要旨>
近年,全国の自治体ではインフラの老朽化による維持管理費用の増加が問題となっている.生活者の視点では,インフラの一部が廃止されたとしても他の公共サービスの代替により,必要な生活機能を維持できる可能性がある.本研究では,公共交通とインフラを一体的に管理する方策に着目し,生活道路の供用を一部取り止める代わりに公共交通サービスを充実するという施策により,生活者の移動の利便性を維持しつつも全体的な支出を削減できる可能性について地方都市の事例をもとに検討する.

地方都市部道路網の冗長性指標に関する一考察 pdf_icon.gif
岡原 裕
<要旨>
災害時の道路途絶は救助活動,避難活動,消防活動等に支障をきたし,迅速な復旧を遅らせる要因となる.また,迂回路の存在は道路途絶の影響を下げることから,一定の冗長性をもつ道路ネットワークの形成は災害に強い地域づくりの観点から重要である.本研究では,道路網の冗長性指標を都市内など比較的狭域のネットワーク評価に適用することを念頭に,既往研究で提案された冗長性指標の改良について検討し,実際の適用事例を通してその有効性や課題について整理する.

タクシーの賃走履歴データを用いた付随的サービス供給力に関する基礎的研究 pdf_icon.gif
掛谷 恵里
<要旨>
過疎地域において持続可能な社会のしくみを考える際,地域を巡回する性質をもつサービスの供給者が本業に加えて地域を支える役割を担うことは,重要な視点となる.本研究では,地方のタクシー業者に注目し,賃走と賃走の合間にタクシー車両が集落を巡回して何らかの生活支援サービスを行うことを想定して,このような本業に付随したサービスがどの程度可能であるのか,タクシーの賃走履歴データ分析を通して明らかにすることで付随的サービスの供給力について検討する.

地方における地元企業への就職可能性に関する研究〜大卒者を対象として〜 pdf_icon.gif
河野 夏樹
<要旨>
地方から都市へ流出する大卒者が多く,大卒者に対して地元定着を促すことが地方創生の一つの課題である.このため,これまで学生が就職していない企業の中から魅力がある企業を発掘し,学生の雇用機会を広げることが必要となる.しかし,そのような企業を見出す方法が不明である.そこで本研究では,学生の就職実績や企業のデータを用いて,就職の可能性がある企業を評価する方法を離散選択モデルを用いて開発し,鳥取県を対象にその適用を試みる.

パッケージサービスとしての公共交通の利用に関する研究 pdf_icon.gif
立石 萌香
<要旨>
人口減少,高齢化に伴い,日常生活に移動がより不可欠となっており,今後は公共交通の役割がより重要になると考えられている.一般に人々が外出する際,往路と復路で何らかの移動手段を用いるが,これらは必ずしも同一ではなく,複数の手段を一つのパッケージとして組み合わせて利用することが考えられる.そこで本研究では,公共交通に焦点を当て,どのような層にパッケージ利用が見られるのかについて離散選択モデルを用いて分析する.

高齢者の外出と活動機会に関する実証的研究pdf_icon.gif
馬場 ひかり
<要旨>
高齢者にとっての外出は基礎的な生活を維持するのみならず,健康の維持にも寄与しており,重要な行為の一つである.外出を促すためには,公共交通や近隣に施設を整備・維持するなど活動の機会を確保することが必要と考えられるが,活動の機会が外出に及ぼす影響については必ずしも明らかにされていない.本研究では,活動の機会の指標を用い,それが外出に関するいくつかの側面にどのような影響が生じているのかを実証的に検討する.

地元定着政策の立案支援手法に関する一考察pdf_icon.gif
山口 博哉
<要旨>
わが国では大卒者の地方から都市部への人口流出が多く,大学生の地元定着が大きな課題である.既に,多くの自治体で地元定着を促す政策がなされているが,有効な政策は自身の地域の現状を把握しなくては立案できない.そこで本研究では,各都道府県の見込み就職者数を導くためのモデルを開発し,これを用いて各地域の現状を評価する手法を提示する.また,見込み就職者数と実際の就職者数の乖離に影響する要因を特定することで,地元定着を促進するための方向性を示す.

中山間地域における高齢者の店舗選択モデル−移動販売を考慮して− pdf_icon.gif
吉村 優花
<要旨>
人口減少・少子高齢化が進行する中山間地域では,食料品・日用品を扱う小売スーパーの閉店・撤退に伴い生活必需品の購入が困難になる高齢者の増加が懸念されている.本研究では,鳥取県西部における調査データを用いて,移動販売を選択肢の一つとする店舗選択モデルを構築し,店舗までの距離や距離抵抗といった要因が地域住民の選択行動にどのくらい影響を与えているかを把握する.また,将来の閉店シナリオの下で店舗シェアを予測し,複数店舗を経営する事業体の閉店戦略や,閉店の影響を補完しうる移動店舗のサービス戦略について知見を得ることを目的とする.

最終更新:2017-04-14 (金) 18:18:24