公共システム研究室(鳥取大学)

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2011年度 修士論文卒業論文はこちらです)

複数の集落による地域公共交通サービスの計画支援手法に関する研究 pdf_icon.gif
伊藤 祥太
<要旨>
地方都市や過疎地域においては,モータリゼーションや人口減少に伴って公共交通サービスの利用者数が減少しており,自治体の財政的な制約のために限定的な水準のサービスしか期待できない場合がある.この場合,自治体や運輸事業者が主体的に地域公共交通サービスを決定するのではなく,集落の住民組織に一定の予算を与えて,彼らが主体となってサービスを検討するという計画方式が考えられる.
しかし,集落の住民組織のみで,集落内における住民のニーズに基づいて自らの集落にとって望ましいサービスを見出したり,複数の集落から合意が得られるような路線サービスを導出することが困難となる場面が想定される.このような場合,集落の人々が自治体の担当者の助力を得ながらサービスを検討することが有効となろう.
そこで本研究では,このような計画場面における自治体の担当者を技術的に支援するための手法を検討する.

過疎地域における生活関連施設の維持可能性の評価手法に関する研究−損益分岐点分析に基づいて− pdf_icon.gif
古山 卓司
<要旨>
人々が地域で定住するには,商店や病院などの基礎的な生活のための関連施設が身近にあることが重要である.しかし,過疎の進行に伴い,生活関連施設の利用者数が減少し,これらの維持が経営的に困難になると考えられる.これらの施設は必ずしも自治体が経営しているわけではないが,それらが基礎的な生活を支えていることを踏まえると,今後は,自治体による政策や事業がそれらの維持可能性に及ぼす影響を考慮したり,必要に応じて,経営のあり方について自治体が経営主体に働きかける必要があると考えられる.その際,過疎地域における生活関連施設は一般的に小規模であり,経営に関する情報が公表されていないため,限られた情報に基づいて維持可能性を分析せざるを得ないという課題に自治体が直面する.そこで本研究では,公開されている経営情報を用いて生活関連施設の維持可能性を分析する方法について検討するとともに,その方法を鳥取県八頭郡を対象に適用して有効性を確認する.

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2011年度 卒業論文

地域特性を考慮した公共交通の潜在的な利用者数の推計手法に関する研究 pdf_icon.gif
梅本 貴弘
<要旨>
近年,地方自治体が公共交通計画を策定することが求められている.計画の策定においては,公共交通サービスの持続可能性ならびに供給するサービス水準や運行形態の検討が行われるが,そのためには潜在的な利用者数を把握することが必要となる.これまでに,簡易な四則演算で利用者数を導出する手法が開発されてきたが,地域特性を反映することなく推計するという欠点を有しており,精度の向上の余地が残っている.そこで本研究では,定時定路線型の公共交通を対象とし,地域特性を踏まえて潜在的な利用者数を推計する手法を検討する.

高齢者の心身機能に応じた生活支援サービスの選択に関する研究 pdf_icon.gif
大西 健太
<要旨>
高齢社会においては,買い物や通院などの基礎的な日常生活に支障をきたす人の増加が懸念される.このため,日常生活を支援するためのサービスの充実が今後は重要となるが,高齢になると心身機能の個人差が大きくなるため,どのようなサービスが有効かは個人によって異なる.そこで本研究では,人々の外出を前提とするサービスと供給者が人々を訪問するサービスに着目し,潜在要因を考慮した離散選択モデルを用いてどのような心身機能の個人がどのサービスをどれだけ利用するのか明らかにするとともに,その結果を踏まえて地域にとって望ましいサービスの組み合わせを導出する.

高齢者の身体的能力を踏まえた公共交通サービスの主観的抵抗の計測 pdf_icon.gif
黒川 淳司
<要旨>
高齢社会に向かう我が国においては,公共交通の利用に対する抵抗の軽減のための知見の蓄積が求められている.その際,高齢者といってもその態様は多様である.特に,高齢者の身体的な能力は人によって様々であり,平均的な高齢者ではなく,どのような身体的能力の高齢者が公共交通に対してどのような抵抗を感じるかを検討する必要がある.そこで本研究では,様々な抵抗を取り上げ,高齢者の身体的能力に応じた主観的抵抗を計測し,その関係を明らかにする.

A15 生活関連サービスの兼業・複合的供給による維持可能性の評価手法 pdf_icon.gif
田中 翔
<要旨>
地方では人口の減少が進行している.この背景のもと,定住人口の確保が自治体にとっての課題となっており,生活に必要なサービスの維持が重要となっている.しかし,人口減少に伴って生活関連サービスの利用者も減少することが予想され,地域からの撤退が懸念される.そこで,従来は個々の運営主体が生活関連サービス施設でサービスを供給してきたが,それらを兼業・複合的に供給し,効率化することでサービスの維持可能性の向上を図ることが期待されている.そこで本研究では,経営情報がない場面を前提とした生活関連サービスの兼業・複合的な供給方策を導入した場合における維持可能性の評価手法について検討する.

最終更新:2016-09-28 (水) 16:27:38