公共システム研究室(鳥取大学)

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2010年度 修士論文卒業論文はこちらです)

オンサイト型観光情報の提供方策に関する研究 pdf_icon.gif
妹尾 麻衣子
<要旨>
人口減少が進む地域では,地域の活力を維持するために交流人口の確保が重要な課題となっている.交流人口の確保策の一つとして観光客の誘致があるが,必ずしもすべての地域が単独で観光客をひきつけるための十分な魅力を有しているわけではない.このため,他の目的地の訪問ついでに地域に立ち寄ってもらうという戦略が考えられる.この戦略の展開には,観光の最中にある人々のうちついでに立ち寄る意向を持つ人がどのような属性の人々か,どのような情報をどの媒体で欲しているのかというニーズを把握した上で,そのニーズにあった観光情報をその他の訪問先,すなわちオンサイトで訪問中に提供していくことが必要となる.そこで本研究では,ベイジアンネットワークを用いたニーズの分析手法を検討するとともに,提供している観光情報がそのニーズに合致しているのかを診断するための手法を開発する.また,これらを実際の地域に適用し,その有効性を実証的に確認する.

住民組織への分権を想定した生活道路の維持管理方策に関する研究 pdf_icon.gif
村田 博美
<要旨>
地方自治体では逼迫した財政事情のもと,長期的な観点にたった効率的な生活道路の維持管理が求められている.自治体内には様々な性格を持つ道路が混在しており,それぞれの性格に基づいて道路を分類し,分類ごとに同一の維持管理方針を定めることが有効と考えられる.その際,一定の予算を自治会等の住民組織に与え,それらによって維持管理の対象が決定される道路の分類をあわせて設定し,行政と住民組織による分権型の方策で維持管理を行うことが考えられる.この発想に基づく生活道路の維持管理方策を策定するには,どのように道路を分類し,また,限られた予算をそれぞれの分類区分にどのように配分すれば予算不足に陥ることなく長期的にやり繰りが可能か,ならびに,ライフサイクルコストの最小化の観点で有効かを見出すための計画手法が必要となる.本研究ではこの手法を検討し,実際の地方自治体を対象に実証的に分析する.

地域公共交通の標準的な潜在的利用者数の導出に関する考察 pdf_icon.gif
吉田 絵梨子
<要旨>
近年,地方や過疎地域において,公共交通の利用者は減少し続けており,民間の公共交通事業者のサービスの休廃止や事業者の撤退が懸念される.このため,現在では地方自治体が主体的に公共交通計画を策定することが求められている.策定に関し,サービスの持続可能性ならびに運行形態(需要応答型交通や個別輸送など)等の検討を行うため,サービスの潜在的な利用者数(以下,「潜在利用者数」と呼ぶ)の把握が必要となる.地方自治体の担当者は必ずしも専門家ではなく,簡易な四則演算で潜在利用者数を導出できることが望ましい.そこで,本研究では,サービス供給対象地域の居住人口に原単位を乗じることで公共交通サービスの潜在利用者数を導出する手法を検討する.
さらに潜在利用者数に影響を与えうる地域の特性を取り上げ,これらを補正値として用いることで再現性の改善がみられるかについて検討する.

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2010年度 卒業論文

輸送手段の選択を考慮した公共交通サービス供給基準の路線展開手法 pdf_icon.gif
高政 和輝
<要旨>
地方自治体が策定する公共交通計画には,どの地区にどれだけの公共交通サービスを供給しうるかを表したサービス供給基準を示すことが有効である.しかし,従来の供給基準は定時定路線型の乗合交通を対象とした上で,それについて個々の集落にどれだけの便数を確保するかを示すにとどまっている.そこで本研究では,その基準を踏まえて路線のサービス供給基準に展開するとともに,予約型,個別輸送型といった様々な輸送手段の運行形態を想定し,それらのどれを選択すべきかをあわせて示した供給基準を導出する手法について検討する.

予算制約を考慮した生活道路の維持管理費用の算出手法に関する研究pdf_icon.gif
竹田津 彰太
<要旨>
市町村において,生活道路の維持管理が重要な課題となっている.生活道路は毛細血管のように張り巡らされており,その延長は膨大である.また地方の市町村では,少子高齢化が進展しており,人口減少に直面している.このため,税収の減少に伴い,道路の維持管理に支出できる予算額の減少が懸念されており,予算額の減少を踏まえた長期的な観点にたった効率的な道路の維持管理が必要となる.そこで本研究は道路全体の総面積のうちどの程度の割合をそれぞれの方策に割り当てていくのかを導出するアプローチに基づいた維持管理の計画手法を開発する.その際に,自治体がそれぞれの年に直面する予算制約も考慮しうるように定式化し,具体的な地域の実態に即して検討する.

公共交通サービスに関する活動別の潜在的利用者数の推計pdf_icon.gif
谷 雅幸
<要旨>
近年,地方自治体が公共交通計画を策定することが求められている.計画の策定においては,サービスの持続可能性ならびに供給するサービス水準や運行形態の検討が行われるが,そのためには供給するサービスの潜在的な利用者数を把握することが必要となる.その際,簡易な四則演算で潜在的な利用者数を導出できる手法があれば,地方自治体の担当者にとって実用的である.そこで本研究では,サービス圏内人口に原単位を乗じることで公共交通サービスの潜在的な利用者数を算出する手法を検討する.

地方における住民の生活時間と定住に関する分析 pdf_icon.gif
坪倉 直紀
<要旨>
 地方にすむ人々が定住するには様々な条件が必要である.その一つとして,日常的にどのような人々とどれだけの時間接するかという生活時間的な要因が考えられる.すなわち,一人や家族,社会など様々な人々と過ごす時間が必要であるが,それらは過多でも過少でも安心で快適な生活を損ないうる.そこで本研究では,人々の生活時間が定住に及ぼす影響をライフステージに着目して分析する.具体的には,異なるライフステージにおける人口減少率が誰とどれだけ過ごす時間に影響を受けるのかを実証的に検証する.その中で,誰と過ごす時間がどの程度重要か,またどの程度の時間が適切なのかを定量的に把握する.

生活道路の分類に基づいた維持管理方策に関する研究 pdf_icon.gif
藤森 洋平
<要旨>
地方自治体では逼迫した財政事情のもと,必要な箇所への選択的な投資が生活道路の維持管理において求められている.生活道路の数は膨大であるため,生活道路を住民の生活に対する貢献に応じていくつかに大別し,各々の性格を踏まえて維持管理することが効果的と考えられる.そこで本研究では,何らかの基準で分類された道路に対して,それらの分類ごとにいつどれだけの道路を更新するか,また,各分類に対してどれだけの予算を配当するのかを検討するための手法を構築するとともに,その手法を鳥取県境港市に適用し,実証的にその有効性を確認する.

高齢者の態様に着目した生活機能の確保手段に関するニーズ分析pdf_icon.gif
松島 充洸
<要旨>
高齢社会においては,高齢者が買い物や診察といった基礎的な生活機能を確保しうるようにすることが社会的な要請である.生活機能は,自らが外出する,供給者が訪問する,住民組織などの代理人が調達するなど様々な手段によって確保しうるが,これらのどれが適切かは地域の特性に依存する.とりわけ,高齢者の態様には個人差が大きいことから,地域内での態様の分布によって有効な手段の組み合わせは異なりうる.そこで本研究では,高齢者の態様として個人の身体能力や家族構成に着目し,どの手段を必要としている人がどれだけいるのかを定量的に把握する方法論を検討する.

道路と下水道の集合的維持管理方策に関するモデル分析pdf_icon.gif
宮本 慎也
<要旨>
地方自治体では,道路と下水道はそれぞれの管理主体が個別に維持管理を行っている.下水道は道路の下に埋設されていることが多いことから,これらの更新に際しては,それぞれの主体がタイミングを合わせて同時に更新することがコストの縮減に寄与しうる.しかし,道路と下水道では劣化の進行や更新費用などの様々な要素が異なるため,具体的にどのような場面で両者を同時に更新したらよいかの判断が困難である.そこで,本研究では,道路と下水道の双方を集合的に維持管理する状況をモデル化し,ライフサイクルコストが最小となる方策を導出する.

最終更新:2016-09-28 (水) 16:27:38