公共システム研究室(鳥取大学)

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2009年度 修士論文卒業論文はこちらです)

小需要地域における生活交通サービスの共存・競合に関する分析手法の開発 pdf_icon.gif
川村 周平
<要旨>
路線バスなどの代表的な公共交通の成立が困難である小需要地域では,新たな形態の生活交通サービスが運行可能となっており,多くの地域でそれらの導入が検討されている.その一つとして,NPO法人等が行う過疎地有償運送サービスがある.このサービスは地域の事情に応じた柔軟な対応を廉価で供給することが可能となっており,タクシー事業との競合が懸念される.一方で,これらは互いに完全に代替できる関係にはないため,これらの共存が地域にとって望ましいものの,どのような条件下で共存しうるかが明確でないため,サービスの導入に際しては激しい利害の衝突が生じる.そこで本研究では,これら二つの生活交通サービスをそれぞれどれだけの空間規模で提供すればそれぞれの収支がどの程度かを分析するための手法を数理計画法を用いて構築する.その上で,鳥取県のある地域を対象に,実証的な分析を行う.

公共交通サービス供給基準の導出における実用的改善に関する研究pdf_icon.gif
馬渕 太一
<要旨>
地方では,住民の活動の機会を保障することを目的とした公共交通計画の策定が自治体に求められている.その際に,効率的で公正なサービス水準を設計することが一つの課題となるが,それに応えるために,地区ごとの標準的なサービス水準を示したサービス供給基準を導出するための方法が開発されている.しかし,その手法を実用に供するに当たっては技術的な難点を伴う作業がいくつかある.その一つが,人々の活動時間の観点から,目的地までの移動距離別に地区を分類する作業である.もう一つが,分類された地区別に導出したサービス供給基準をそれぞれの路線のサービス供給基準に展開する作業である.
そこで本研究では,これらの二つについて,理論的な手法の検討を行うとともに,いくつかの地域を対象とした実証的な比較分析を通して,理論的なベースを踏まえつつサービス供給基準の実用に応えうるようなサービス供給基準の導出方法を提案する.

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2009年度 卒業論文

台境港における高潮発生メカニズムに関する研究 pdf_icon.gif
石森 友一
<要旨>
鳥日本海や境港で,台風通過後に遅れて最大潮位偏差が発生する理由として考えられるものに,コリオリ力がある.コリオリ力が高潮に及ぼす影響を扱った研究は少なく,その影響も明らかになっていない.本研究では,境港を対象とし,コリオリ力が影響する場合としない場合を潮汐・高潮・波浪結合モデルSuWATを用いて高潮位を記録した台風0418号の高潮再現計算を行い,計算結果を解析し,コリオリ力が高潮発生にもたらす影響について明らかにすることを目的とする.

集落間での地域公共交通サービスの調整に関するゲーム論的研究pdf_icon.gif
伊藤 祥太
<要旨>
地域公共交通の確保においては,財政的な制約のために限定的な水準のサービスしか期待できない場合がある.このもとでは,生活実態を最もよく把握している住民にサービスの提案を委ね,それに基づいてサービスを設計することが考えられる.しかし,地域公共交通の路線は複数の集落をまたぐことが一般であり,また,それぞれの集落で提案は異なりうる.そこで本研究では,集落による提案に基づいた合意可能なサービスを行政が見出し,利害対立を調整するための手法をゲーム理論を用いて検討する.

修復レベルと予防年齢を考慮した海岸保全施設保全施設における保全問題pdf_icon.gif
妹尾 優大
<要旨>
海岸保全施設は長期におよぶ供用期間において性能を維持しなければならない.しかし安全性を高めることはライフサイクルコストの増加を招く.安全性と経済性をバランスさせるためには維持管理計画の確立が必要と考えられる.本研究では海岸保全施設の補修・更新の意思決定問題として維持管理費用最小化問題について考察する.

持続的な生活交通を目指した観光管理方策の分析手法 pdf_icon.gif
永田 裕紀
<要旨>
人口が少ない地域では,定住人口のみで公共交通サービスを確保することは財政的に困難である.そこで,観光客を地域に呼び込み,観光客も顧客とすることでサービスを成立させることが一つの策となる.しかし,過度に大量の観光客の流入は混雑を招き,住民の利用を阻害するとともに,観光客の再訪問の意向を損ない,ひいてはサービスの持続可能性も脅かされる.そこで本研究では,予約制の導入や料金設定を通じた観光客の流入管理を行い,観光客の受け入れと住民の利便性の両立を目指した公共交通の計画手法を検討する.

避難シミュレーションによる地域における避難誘導者数の検討 pdf_icon.gif
藤井 俊久
<要旨>
予てからの国や地方自治体の財政状況の悪化により,防災施設の整備によって地域の防災機能を高めることは困難となっている.そこで,自助・共助・公助に基づいて,住民自らが協力することで,災害に対して住民は自分の身は自分で守り,住民のみでは果たせない防災機能を行政に促すことが重要である.本研究は,地域における迅速で的確な避難行動に必要な避難誘導者の配置と人数について,避難シミュレーションを用いて住民が避難に要した時間の算出より,考察するものである.

消波被覆層の累積被災に伴う性能劣化に関する評価システムの開発pdf_icon.gif
藤本 啓伸
<要旨>
社会基盤施設の設計が従来の仕様型設計法から性能型設計法へと転換されつつある現状においては,維持管理型設計法が重要とされている.維持管理型設計法の観点から,修復判断のため社会基盤施設が被災した際,劣化した構造物が本来の性能を維持し続けているかを明確に示すことが求められている.本研究は,消波ブロック護岸堤を対象に,現場で目視計測できる被覆材の被災個数と設計条件等を入力データとしたときに,被覆材の被災量より性能劣化の程度が定量的に得られるような評価システムの開発を目的とするものである.

交通サービスの改善による生活関連施設の維持可能性の分析手法pdf_icon.gif
古山 卓司
<要旨>
人々が地域に定住するには,商店や病院などの基礎的な生活のための関連施設が身近にあることが重要である.しかし,人口減少の進展に伴うサービス圏人口の減少により,これらの維持が経営的に困難になると考えられる.このため,交通サービスを改善するに際してはサービス圏人口の拡大も一つの目的として実施し,これらの施設の維持に貢献することが考えられるが,従来は時間短縮などの移動面を主に評価が行われてきた.そこで,本研究では,交通サービスの改善による生活関連施設の維持可能性の分析手法を確立する.

地形の影響を考慮した台風モデルの開発に関する研究pdf_icon.gif
山名 晃広
<要旨>
鳥取県境港で行われた高潮再現実験にて,台風モデルがうまく高潮を再現できなかった.地形データを扱う気象モデルは精度が高いが,操作が難しい.一方の台風モデルは地形データを扱わない分,操作が簡単ではあるが,地形の影響がある所では誤差が大きくなる.太平洋上などでは地形の影響がないので容易に精度が得られる台風モデルは昔から利用されてきたが,今回のように地形が影響する地域では台風モデルは不利であった.そこで本研究の目的は台風モデルに地形の影響を考慮させ,より高精度のモデルを開発することである.

最終更新:2016-09-28 (水) 16:27:38